丘の屋敷
シャーリ・ジャクソン, 渡辺庸子
コメント
怪奇現象が発生するといわれる、大邸宅に招待された者たちが遭遇するものの性質は「何」なのか。誰かにとっての現実を前に、客観的な事実など霞にも等しく、儚い。
行人改版
夏目漱石
何をしていても、他にすべきことがあるのではないか、という気がしてしまう。近代以降の時代に自我を持って生きる人間の、普遍的な苦悩が描かれる。
誠実な詐欺師
トーベ・ヤンソン, 冨原眞弓
それぞれが「たったひとつのこと」にしか関心を割けない三者三様の登場人物。彼らが同じ屋敷で暮らし、やがてもたらされるのは不可避の変化。
アンデルセン童話集 全7冊セット
大畑 末吉
収録の全作品を読めば、実は意外とあまり知られていない、著者の世界の根幹と奥深さに少し近づける。
月と六ペンス
サマセット・モーム, 金原瑞人
嵐や洪水……それら天災を体現するかのような男・ストリックランドとの出会いを通じて、語り手の「わたし」は、人間の孤独と社会との関係にまで思いを巡らせる。
氷点（上）
三浦 綾子
自分にも自覚できない罪とは何か。原罪と呼ばれるものの性質へと踏み込みながら、人間の感情の機微を驚くほど巧みに描き出した傑作。
闇の守り人
上橋菜穂子, 二木真希子
「精霊の守り人」の続編にあたる巻で展開される、カンバル王国の風景。バルサと養父ジグロの、親子のような、友人のような、恋人のような、師弟のような関係が胸を打つ。
人間の土地
サン＝テグジュペリ
「きみは〈人間〉だ、だからきみは、同時にあらゆる人間の顔をして、ぼくに現れる」……砂漠での遭難に際し、彼らはこう語った。耐え難いのは自身の苦しみではなく、自分たちの安否を気遣い、また、任務の遂行を待っている無数の目があることなのだと。
嵐が丘
エミリー・ブロンテ
この目に見える、表層の世界など取るに足らない。あなたが私の魂の半身であり、私もあなたにとってそうであること、その事実だけが問題なのだと述べるキャサリン・アーンショウとヒースクリフの物語。
小公女
バーネット, 土屋京子
たぐいまれなる「空想の達人」は、その強靭な意志の力を持って、現実すらも理想へと変容させる。けっして聖人ではない少女、セーラ・クルー。
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